遺品とは
遺品とは死亡した人が所有していた物のことです。遺品の「遺」には死後に残す、品には持ち運びできるという意味が含まれることから、死亡している人または生物が所有していた物質全般を指すと考えてよいでしょう。よって故人が身につけていた服・グッズ・貴重品・書類など目に見える形の物質は「遺品」と呼べますが、故人の思想や形而上のものは遺品とは呼べません。
もちろん物全般を指すので、肉体の一部である髪の毛も遺品と呼べます。スマホ・パソコンなどの電子機器から、お札・時計・刀などの骨董品まで遺品には様々な種類があります。
遺品整理とは
整理とは「関連するものを近づけ、見えない線で揃えること」です。乱れて散らばったものを同じカテゴリで揃えることにより情報を認識しやすくなります。物があふれていても整理といえるわけですが、物が多くなってくるとスペース(余白)が少なくなり、情報処理が上手く働かず整理できなくなります。よって「物を捨て、整理しやすくする」ことが片付けの本質といえます。
究極の整理とは何も存在しないことです。これらの前提をふまえると、遺品整理とは、不用品を捨て関連する物をまとめることだといえます。
少し冷たい言い回しに聞こえるかもしれませんが、御遺族が実際に遺品整理を行う場合は、心の整理とある程度の覚悟を持って臨まなければ片付けが進まず、途方に暮れることになってしまいます。
私どもの業者が実際にご依頼を受けて遺品整理のお手伝いをさせていただく場合には、ひとつひとつ丁寧に取り扱いをさせていただきます。
また、ご遺族様にとっての遺品整理とは、単にモノを片付けて整理するだけではなく、昔の思い出や感情にもしっかりと向き合って、心の整理をすることであるとも考えています。
遺産と遺品の違い
遺産は土地の財産や借金などプラス・マイナスの価値が生じ、お金に換金できますが、遺品は故人の日記や写真など価値が生じないものも含まれます。遺産整理は法律的なことを指し、遺品整理は物を片付けることを指します。
遺品と色即是空
色即是空(しきそくぜくう)とは、物には実体がないけど存在はしているという「色はあらゆる物質をあらわすが、本質的には空である」という仏教の教義です。どんな物でも本質は空であり、仮の形であるので執着するのはあまり意味のないことなのです。
いつまでも遺品を大切にとっておくという考え方もありますが、できる範囲で処分することも必要です。
ビルゲイツは不要なものを次々と取り入れ、デザイナーに嫌われる残念なOSを作りましたが、ジョブズは不要なものを切り捨て、世界を変える洗練されたiPhoneを生み出しました。不要なものを捨てることは、何かを加えるよりも素晴らしいことなのです。
遺品整理は難しい
遺品整理が難しいと言われる理由の一つに、物量が多すぎて何から手を付けてよいのか分からないということが挙げられます。老人の家の場合は、数十年以上の生活の蓄積により、凄まじい量の物が出てくることもあります。
意外と怖いのが病気です。故人が病気で注射器などを使っていた場合は、片付けている人に注射器が刺さることにより感染してしまう危険性もあります。夏場などはダニが繁殖するので、アレルギーを持っている人は、気管支にダメージを受けるかもしれません。
ゴミ屋敷化したような部屋を目の当たりにして意気消沈する御遺族の方もいらっしゃいます。粗大ゴミの手続きを行ったり、ゴミを出す日までゴミを保管するなどの時間や労力がかかり、精神的に疲れてしまうこともあるでしょう。部屋のゴミを捨てるだけならまだしも、貴重品があるかもしれないし、必要なものと不要なものを分別する必要があるので、多大な労力がかかります。
これらの作業を細かいところまで一人や二人で行うとなれば、途方もない時間がかかってしまうのは想像に難くありません。
遺品整理は先延ばしにできない
マンションなどの賃貸の場合、遺品整理を先延ばしにすれば、月々の家賃を払い続ける必要があります。家賃の請求先は法定相続人である子供となるので、親が亡くなった場合は早急に遺品整理を済ませる必要があります。一軒家の場合も、遺品の中に国債や定額貯金が含まれている場合、先延ばしにした結果、権利消失することもあります。いずれにしても、遺品整理を先延ばしにしないほうがよいでしょう。
換金できる遺品
遺品には相続に必要な現金・宝石・土地などが含まれていることがあります。遺品の中に貴重品がないか整理しておくことが必要です。具体的には貴重品は以下のようなものがあります。
- 銀行の通帳
- 土地の権利書
- 印鑑、株券
- 貴金属
- 契約書など
- 高級なインテリア雑貨
- 仏壇
換金できない遺品
遺品の中には換金できるわけではないけど、故人の思い出が詰まった大切なものもあります。ただし、貴金属がついている場合、換金できるケースもあります。
- 写真
- 日記
- 遺骨
- 位牌
- 賞状、トロフィー
デジタル遺品
USBやSDカード、HDDの中に入っている故人の情報などがあります。
- SNSのアカウント情報
- ネットバンキング
- ブログのデータベース
- ハードディスクに保存してある写真
- メール
- パソコンのHDD/SSDに保存されている情報
- スマートフォンに保存してある情報
捨ててよいのか迷う遺品
相続人や身内の方が直接使うわけでもなく、お蔵入りしそうな遺品を取っておくとどんどん物が増え続け、最終的にはお子さんやお孫さんたちが片付けや整理整頓に苦労するはめになります。例えば、故人の下着や制服などはとっておいても、意味があるとも思えません。
片付けの極意は「不要なものを捨てる」ことに尽きます。今使わないものは思い切って捨てる勇気も必要です。換金できるものは捨てない、換金できないが思い入れがあるものは、小さいものなら残しておき、大きいものなら写真や動画を撮って、クラウドに保存しておくとよいでしょう。
また、仏壇や神具などの仏具は、故人の念がこもってそうで捨てるに捨てられないですよね。仏具や人形などは、お寺でお焚き上げしてもらいましょう。他に供養してもらえるものは、かつら・杖・数珠・仏壇などです。トロフィーや仏具は金銀の製品を使ってあるものであれば高値で売れることもあるので、査定に出すのもありです。
遺品整理のタイミング
相続は身内が死亡したときから開始されます。葬儀が済んだら相続手続きに入るのが一般的です。相続を承認するか放棄するか3ヶ月以内に決定します。その間に相続人全員が集まり話し合いの後に、遺品を整理していくとよいでしょう。遺品整理は独断で進めてしまうと、後々相続人や遺族の方とトラブルに発展する可能性も否めません。必ず相続人全員が揃って、じっくり話し合ってから行うようにしましょう。
遺品整理をプロに頼むか、自分でやるか
自分で行えば金銭的なコストを抑えることができますが、長い時間を浪費します。業者に頼めば金額はかかりますが、時間は短縮できます。ただ、業者に依頼する場合は見積もりを上回る金額を後で請求してくる悪徳遺品整理業者や、不法投棄を行う無責任な業者もあるので慎重に選ぶ必要があります。
悪徳遺品整理業者の見分け方
遺品整理業者から出された見積もりと請求される金額が違うというトラブルもあります。中には最初に格安の金額で見積もりを出し、作業後に何かと理由をつけて、平均よりも高い金額を請求する業者もいるそうです。極端に安い見積もりを出してくる業者には気をつけましょう。
よい遺品整理業者を見分けるために
- 遺品整理士認定協会に加入しているか聞く
- 追加料金がかかる場合は、事前に確認し、納得してもらった上で支払う契約を結ぶ
- 打ち合わせ内容をボイスレコーダーで録音可能か聞いて反応を確かめる
- 事前にネットで業者の悪評がないか調べる
- 見積もりが極端に安いか高いか
- 料金表が明確か
- 最大どれくらいの金額になるのか聞く
- 作業光景やトラックの写真を撮影可能か聞く
- 身だしなみは清潔か、言葉遣いは適切か
- 会社の制服・名刺・口座はあるか
実際にトラブルになってしまったら消費者センターに相談するのがよいでしょう。